留袖の由来と継承

今では留袖というと、結婚式に列席する親族の既婚女性が着用するものという風に思われていますが、元禄初期井原西鶴の俗つれづれ記に、十九の秋には男女ともそれまでの振りのあいた袖から縫い詰まった付け詰めの袖にしたと記されているように、現在の成人男性の着物はそのまま付け詰めの袖ですが、成人女性の着物はその当時、袖は短く付け詰められていて、細い帯をしていたのですが、装飾性を伴い帯の幅が広くなり、袖付けが少なく振りが開けて作られるようになったようです。つまり留袖とは、若い女性の成人式や婚礼の衣裳のような振袖に対して、大人の女性が着る50cm程の袖丈の着物のことを言います。一般的に留袖とは、紋付の裾模様のこととされていますが、訪問着や付け下げ、普段に着るような織りの着物もすべて留袖と言うことになります。留袖に限らず日本女性の被服史に置いて、着物の形はその時の生活様式や着る人の行動パターンによって変化を遂げてきました。一時期日本女性の着物離れが叫ばれましたが、昨今、若い人たちの間で着物の良さが見直されつつあります。今後この着物が未来の日本女性にどのような形で引き継がれていくのか、とても楽しみなところですが、継承されてきた美意識を損なわず、その時代に応じた生活の中にある着物を考える時期に来ているのかも知れません。

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色留袖と黒留袖

ここで言う留袖は、既婚女性の第一正装として用いられる、染め抜きの五つ紋付き裾模様のことですが、この前身ごろの立褄から裾へと流れる模様は、江戸時代中期、帯幅が広くなり、帯を後ろで結ぶようになり、また、髪型も結髪という結い上げの髪が流行しだし、髪にも櫛・笄・簪などの飾り物を多くつけるようになります。全体的なバランスを重視する当時のおしゃれな人々が上前の立褄から裾にかけて美しい柄を置くようになって行きました。江戸の芸妓が好み流行ったことからか、江戸褄模様と呼ばれるようになり、関東ではいわゆる黒留袖を江戸褄ということもあるようです。結婚式では新郎新婦の母親や仲人婦人及び親族の既婚女性が、黒留袖を第一正装として着用しますが、色留袖も黒留袖も基本的には同格です。どちらも既婚女性の第一正装として着ることができます。ただし、結婚式の場合、主役はなんと言っても花嫁さんですから、それ以上に華やかになることは避けるべきでしょう。江戸時代の婚礼の席では、薄色を忌色とされていたということも聞きますが、現代の宮中などは黒留袖よりも色留袖の方が、既婚女性の第一正装とされています。結婚式以外での既婚女性が正装を必要とする場合、たとえば授賞式などの式典に来賓として出席する時などは、色留袖が第一正装として相応しいのではないでしょうか。

留袖を着るときのお約束事

着物を着る時の仕来りや決まりごとが難しいから、着物を着るのが煩わしいと言われる方が多いようです。普段に自分自身が楽しむために着物を着る時は、決まりごとなどあまり気にせずに楽しみたいものですが、結婚式や授賞式などの、出席する催しの品格や格式を損なうようなことは、一般常識として尊重するべきです。黒留袖や色留袖を既婚女性の第一正装として着用する時の決まりごとは、その地域によって幾分違うこともあります。黒留袖は染め抜きの五つ紋(家紋)が付いている一越縮緬の着物で、柄付けは前身ごろの立て褄から身頃を下前の身頃の奥までぐるっと一周する裾模様が繋がっている、肩無地の裾模様(江戸褄模様)の着物で、模様に刺繍や金銀の摺り箔、金泥や螺鈿などが豪華にあしらわれています。柄の高さが高いほど若い人向きでしょう。黒留袖を着る時には白無地の下重ねを二枚重ねて着るか、重ねた様にみせた比翼仕立てにします。黒留袖を着る時の襦袢は白の無地を着ます。襦袢の半襟・帯揚げ・帯締め・足袋すべて白を用います。帯揚げに金の模様が入ったものもあります。帯締めは金銀振り分けになった組みひものものもありますが、この時、金色を左側(心臓の上)に来るように締めます。帯は金銀白などの織りの帯を合わせます。丸帯または袋帯で二重太鼓に結ぶことが多いのですが、二重太鼓に羽根のついた程度の変わり結びをすることもあります。綴れ帯の場合は金銀で織られていてなごや帯でも締めることがあります。色留袖の場合も黒留袖と同じようにしますが、色留袖には綸子地のものも華やかできれいです。

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Copyright © 2007 留袖は既婚女性の第一正装